手持ちのBluetoothイヤホンでもOK!ゲーミングPCに最適な、遅延や遅れの少ないBluetooth接続のやり方

ゲーム

こんにちは電太です。

ゲーミングPC、特にデスクトップPCでゲームを楽しまれている方の中に、マイクとヘッドフォン・イヤホンは有線ではなく、無線接続が良いと思われる方は多いのではないでしょうか。一般的に、変換処理の多い無線接続は有線接続に比べて遅延時間が大きくなり、映像と音のズレが気になるレベルまで大きくなることがあります。このように、無線接続のゲーム環境では遅延時間がとても重要で、これを一定時間以下に抑えることが求められます。

本記事では、無線接続の一つであるBluetooth接続について3通りの接続方法を試し、それぞれの遅延時間を計測しました。その結果、aptX LLに対応した接続が最も早く30 ms程度の遅延であることが分かりました。また、手持ちのBluetoothイヤホンやBluetoothヘッドフォンを流用した、お手軽かつそこそこ遅延時間が小さい接続方法も紹介します。

 

遅延時間

遅延時間の計測方法

遅延時間はフリーでオープンソースのAudacityを使って再生と録音のズレを計測しました。

具体的に、図の上段にある再生トラックのクリック音を再生しながら、この音をマイクで拾い、下段にある録音トラックに記録します。一般的に再生から録音までの間にはDA・AD変換による処理時間などが含まれるため、クリック音は遅れて記録されます。この遅れを遅延時間とし、接続の方法によってこの時間がどう変化するかを実験で確かめました。なお、オーディオデバイスのドライバーインターフェイスはMMEを使用しています。

 

Audacityによる遅延時間計測

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接続方法

ゲーミングPCとイヤホン・ヘッドホンとの接続方法は以下の4つとしました。

  1. 有線
  2. Bluetoothヘッドホン
  3. Bluetoothヘッドセット
  4. aptX LL

 

まず遅延が最も小さい有線接続で、基準となる遅延時間を計測します。

2つ目のBluetoothヘッドホンは音声配信のためのA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)を使った接続方法になります。一般的なBluetoothイヤホンやBluetoothヘッドフォンはこの接続方法に対応しています。

3つ目のBluetoothヘッドセットはその名の通りボイスチャットなどの音声対話用のプロファイルで、HSP(Headset Profile)やHFP(Hands-Free Profile)を使った接続方法になります。一般的なBluetoothイヤホンやBluetoothヘッドフォンはこの接続方法にも対応しています。

最後のaptX LLはサウンドデバイスから出力された音声をBluetoothトランスミッタでBluetooth信号に変換し、aptX LL対応のBluetoothイヤホンで再生する方法になります。一般的なBluetoothイヤホンやBluetoothヘッドフォンはこのaptX LLに対応しておらず、aptX LL対応のものが必要になります。

接続方法2から4について、ばらつきを把握するため、計3回の計測を行っています。

 

実験

有線接続

基準となる遅延時間を計測します。配線の煩わしさはありますが、遅延が最も少なく、100均で手に入るなどコスト面でも優れた方法になります。

イヤホンは接続図の通りサウンドの出力側と有線で接続され、マイクはサウンドの入力側と有線で接続されます。

波形から読み取った遅延時間は約50 msでした。

 

接続図

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遅延時間は約50 ms (録音トラック221 ms – 再生トラック173 ms = 48 ms)

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Bluetoothヘッドホン接続

Bluetoothを使った”ヘッドホン”接続になります。有線接続と比べて、配線がなく取り回しは楽になりますが、遅延が大きくなります。また、付属のマイクが使えず、ボイスチャットができない点も注意が必要です。

イヤホンは接続図の通りPCのBluetoothアダプターと無線で接続され、マイクは有線接続と同様サウンドの入力側と有線で接続されます。

波形から読み取った遅延時間は最短約200 msで+5 ms程度のぶれが存在します。また、基準となる有線接続からの遅れは150 msでした。

 

接続図

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遅延時間は最短約200 ms (録音トラック377 ms – 再生トラック173 ms = 204 ms)

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使用したBluetoothドングル(TP-Link Bluetooth 5.0 ナノUSBアダプター UB500)

 

使用したイヤホン(Sony WI-1000X)の後継機種

ソニー|SONY WI-1000XM2BM

 

Bluetoothヘッドセット接続

Bluetoothを使った”ヘッドセット”接続になります。音声通話用のプロファイルのためヘッドホン接続と比べて遅延は小さくなりますが、モノラルで音質は低下します。また付属のマイクが使用できます。

接続図はBluetoothヘッドホンと同じなので、省略します。

波形から読み取った遅延時間は最短約100 msで、ブレは+2 ms程度でした。また、基準となる有線接続からの遅れは50 msでした。

 

遅延時間は最短約100 ms (録音トラック277 ms – 再生トラック173 ms = 104 ms)

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aptX LL接続

aptX LLを使った接続になります。この接続方法はLL(Low Latency)の名の通り、遅延が少なく、音質も良いです。しかしながら、マイクが使用できず、さらにトランスミッタが必要でお金のかかる接続方法となっています。

イヤホンは接続図の通り、サウンド出力の先に接続されたBluetoothトランスミッタと無線で接続され、マイクは有線接続と同様サウンドの入力側と有線で接続されます。

波形から読み取った遅延時間は約80 msで、ブレはほぼ0 msでした。また、基準となる有線接続からの遅れは30 msでした。

ラディウスの記事より、aptX LLの遅れは40 ms未満ということなので、妥当な結果が得られていると考えられます。

 

接続図

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遅延時間は約80 ms (録音トラック255 ms – 再生トラック173 ms = 82 ms)

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使用したトランスミッタ(TaoTronics TT-BA09 Pro)

ディスコンなのか、もう売っていないようです(T_T)

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使用したイヤホン(エレコム LBT-RH1000)

ELECOM エレコム LBT-RH1000BK

 

まとめ

表に接続方法の比較結果をまとめました。

aptX LLの遅れが最も小さく、映像と音のズレはまったく気にならないレベルです。コストとボイスチャットが使用できないことを許容すれば、第一の選択肢になります。

意外と健闘しているのがBluetoothヘッドセット接続です。音質はモノラルになってしまうものの、遅れは50 msと小さく、十分に早い接続方法です。手持ちのBluetoothイヤホンやBluetoothヘッドホンを流用することで、お財布にも優しい接続方法となってるため、まずこの接続方法の音質や遅れが許容できるか、試してみてください。

最後に、Bluetoothヘッドホン接続は遅延が大きく、ゲーム環境には厳しい接続方法と言えます。

 

接続方法の比較

接続方法配線遅れ音質マイクコスト使用
イヤホン
有線×0 ms100均のもの
Bluetooth
ヘッドホン
150 ms×WI-1000X
Bluetooth
ヘッドセット
50 ms×
aptX LL30 ms××LBT-RH1000

 

その他

aptX LLのUSBドングル

手持ちがなく試していませんが、BluetoothトランスミッタではなくUSBドングルで直接接続する方法があり、アナログの変換がない分さらに高速であると予想されます。

 

いつか試したいCreative BT-W3

Creative BT-W3 Bluetooth トランスミッター

 

PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット

これも物が手元になく試していませんが、ゲーム環境用に設計されており、無線接続の大本命と考えています。PS4などコンシューマ機でも使えることも評価ポイントです。

 

いつか試したいSony PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット

 

新規格LE Audio

ITmediaの記事によると、超低遅延を謳うLE Audio対応の製品が2022年後半からリリースされ始めるようなので、お金と機会があれば試してみたいです。

 

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